研究課題/領域番号 |
09871020
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
藤原 真 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (70264950)
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研究分担者 |
杉山 誠 福山職業能力開発短期大学校, 情報システム系, 講師
田邊 喜一 福山職業能力開発短期大学校, 情報システム系, 講師
塚田 健一 広島市立大学, 国際学部, 教授 (00227365)
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キーワード | 聴覚情報処理 / 瞬目潜時 / 分離試行課題 / 自発性瞬目 / 感性 / 音楽 |
研究概要 |
昨年度に提案した楽曲呈示方式に基づき、数名の被験者に対して予備的な楽曲名同定実験を実施したところ、楽曲名の同定時刻に大きな個人差が認められたため、提案方法が適切ではないことが判明した。そこで、本年度は、新しい呈示方法として間欠呈示方式を考案した。本方式では、楽曲を連続呈示する替わりに、ある一定の時間間隔で楽曲の呈示,中断を繰り返すことにより、楽曲名同定の困難さを操作することができる。このような呈示方式に基づき、第1回目の心理実験(運動反応付きの楽曲名同定課題)を実施した。本実験で用いた楽曲のカテゴリは童謡であり、アンケート調査により、被験者に馴染みのある20の楽曲を選出した。楽曲の呈示及び中断時間は、それぞれ1秒,2秒に設定し、1曲あたり最大20秒間、間欠呈示を実施した。被験者には、楽曲名が同定できた瞬間にキー押しを行わせた。試行回数は被験者当たり40回であり、同一曲が2回含まれるようにランダムな順序で呈示した。被験者は男子短大生8名であった。現時点では、全被験者に対する分析が完了していないため、本報告では、これまでに得られた知見についての定性的な説明にとどめる。まず、楽曲呈示開始後の瞬目率分布から次のような傾向が認められた。第一に、試行開始後、数100ミリ秒の時点で、瞬目率のピークが形成された。この傾向は試行開始前の注意が集中した状態からの一時的な開放として解釈できる。第2に、試行開始から数秒後に瞬目率のピークを示す傾向が認められた。この傾向は、瞬目が一連の同定処理過程における何らかの中間処理の終了を意味しているものと推察される。次に、キー押し時刻を基準として算出したその前後の瞬目率分布から、キー押し時点よりも、数100ミリ秒前に瞬目率のピークが形成される傾向が認められた。これは、瞬目がキー押しという運動反応に対応して生じるのではなく、楽曲名の同定終了に対応して生起したとの解釈が可能である。
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