本年度は、昨年度に実施した対象児童(小学校5年生および6年生)とその両親に対する質問紙調査(313家族について次のような内容のアンケートを郵送により配布・回収した:1)父親用アンケート→当該児童との親子関係、夫婦関係、家族関係、父親自身の精神的健康度と既往歴、パーソナリティ、家庭内の役割分業と性役割観、ライフスタイル等 2)母親用アシケート→父親と同様の内容に加えて、子どもの不適応行動および行動特徴のチェックリスト 3)子ども用アンケート→親子関係、子どもから見た両親の関係、家族関係、パーソナリティ、自己評価、悩み事、精神的健康度等)の全てについての入力を完了し、総合的な解析を開始した。また、同時に実施した行動観察資料(親子(父子および母子)、夫婦、家族(父+母十対象児)それぞれの2者間および3者間の相互作用場面を実験室内で設定し、ビデオ録画をおこなったもの)の一次的なビデオ分析を実施した。父母子3者の″家族の団檗″でのコミュニケーション全体の雰囲気に影響を及ぼしているのは親子2者の雰囲気ではなく、夫婦間のものであること、また3者のコミュニケーションの在り方は、この時期の子どもの問題行動傾向と関連することなど、多くの知見を得た。今年度の成果については、日本心理学会および発達心理学会で発表をおこなった。
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