研究概要 |
1. 研究者のネットワーク化 メールを通じて以下のような議論をとり行った。 1-1. 代表者執筆論文(「母親になるということ」藤崎(編)第1稿)の合評/ 本稿では少子化の原因を(1)「職住分離」「生活と住居の分離」「遊住分離」といった、産業化した市場社会の構造に求め、そのことが(2)「再生産責任の個人化」「再生産の私事化」「再生産上の無限責任」「再生産による相対的貧困化」「再生産の趣味化」といった現象を招いたと分析した。すなわち社会は再生産への動機付けに失敗していること、少子化はシステムの必然的な帰結であることを提起し、さらに(3)保育等の市場化は少子社会の対応策としては意味があるが、それにより少子化を止めることはできない旨を提起した。 すなわち、少子化をくい止めるためには、(4)公私の融合や再生産責任の社会化等、構造転換が必要であると主張した。これに対して、とくに(3),(4)を軸に議論が行われた。 1-2. 親権/上記の(2)にもかかわらず、現状では親権が十分保障されていないこと(親権の最小化)、このことについての実例呈示、日米の親権、責任概念の文化比較が行われた。 2. 代表者の活動 滋賀県彦根市のエンゼルプランに関する委員として、調査及び報告書の作成に係わった。彦根市の特徴としては三世代同居率が若干高い。しかし、ここでも少子化は進行している。またこの調査の特徴は20歳代男女(子無し)調査をとり行ったことにあるが、それによれば「先取りされた育児不安」が非常に強いことがわかった。
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