今年度は研究初年度として、ケアマネジメント過程に関する看護とソーシャルワークの実態や方法論などに関する内外の文献検索を行った。またケアマネジメントの実態について把握するために、ケアマネジメントの先駆的地域・機関と言われている、北海道札幌市東札幌病院、室蘭市日鋼記念病院、帯広市北斗病院、高知県近森病院を訪問し、病院を中心としたソーシャルワーカーと訪問看護婦に対して、地域カンファレンスへの参加およびヒヤリング面接調査を行った。その中でソーシャルワークと看護のアセスメントの視点において、個人的志向性を超えた専門職の視点の違いとなる「関心領域」の存在について仮説を立て、検証するための方法論を検討した。 さらにその訪問調査をもとに、ソーシャルワーカーと訪問看護婦の関心領域項目を特定し、具体的な相関を検定するための第一次基礎調査を、全国150箇所の病院のソーシャルワーカーと、病院に併設している訪問看護ステーションの訪問看護婦に対して行った。調査対象は無作為抽出を行い、各施設のなるべく多くのメンバーの回答を依頼した。現在回答が返送されいる途中であり、最終結果はSPSSを用いたコンピュータ解析を行う予定である。 また第二次調査に向けて、研究の方向性を確認するために、現場のソーシャルワーカー集団に対するフォーカスグループの手法を使った調査を行った。さらに大阪府立看護大学の大谷昭先生をお迎えして、わが国におけるケアマネジメント過程の歴史的展開や特色に関して確認し、今後の研究に向けて検討する課題について助言を得るための会議を開催した。
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