昨年までの、小中学生と乳幼児の交流がどこでどのように行われているかということに関する実態調査、交流活動に関する実践協力施設等の依頼を踏まえて、本年は具体的に、以下の地域で実践と調査を実施した。 第1に、千葉県市川市社会福祉協議会の協力を得て、本年度の会の事業として市内14の私立保育所で68人が参加して実施された「きょうだいボランティア」の実践を実現した。また、参加した小中学生と援助した保育者への調査を実施した。第2に川崎市の公立幼稚園と私立保育所5歳児と公立中学3年生の交流事業での、継続研究と参加した中学生約100人への調査を実施した。第3に、大阪市で実施された「福祉ちょっと体験スクール」に参加した中学生約200人への調査をした。第4に茨城県土浦市公立保育所9園で夏休みにボランティア体験した約30人への調査をした。 調査結果からは、おおむねいづれの体験をした場合でも、体験後の乳幼児への感情は好意的な方向へ移行していることが明らかになってきている。結果からは、その体験が、主体的な関わりかどうかということが乳幼児にたいしての感情の形成と密接な関係があり、体験を主体的な関わりにもっていく方法が大変難しいことであることもほぼ明らかになってきている。 以上の調査を踏まえて、研究の最終年である次年度は、実践にあたってどのような注意が必要なのか、また、どのような形態の体験が有効なのかということについて、本年度とは、いくつかの条件の変更をしながら実践したいと考えている。
|