健康関連のセルフヘルプグループの中でも特に口唇口蓋裂児の親の会に焦点をあて、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・インドネシアの現状について、概略を把握した。 日本における親の会は、特に多岐にわたり、教育の領域において言語障害児の親の会に包含されている場合と、医療の領域において口唇口蓋裂の言語の教室として、独自に存在する場合とがある。もちろん後者の方が多数であるが、その中でも専門職との関係をみると、メンバーが会の代表者となって、外見からは当事者が主導する会のように見えるが、専門職(医師)に取り込まれて、専門職が決めるプログラムを具体化するための手伝いに終わっているグループ(依存潜在グループ)、病院の患者会のように医師主導の病院内だけでプログラムを組むグループ(依存顕在グループ)、全く専門職から自立して全てをメンバーが決定し、実行しているグループ(完全自立グループ)の3種に分かれた。 特に多種のフルプロフェッションの医師によるチーム医療を必要とする口唇口蓋裂の治療には多種の医師の協力は難しいが、完全自立グループの親の会では、その困難なチーム医療を可能にするべく、医療講演会に多機関から医師を招じている。この完全自立グループの活動によってメンバーが自己決定をする中でどのようにエンパワメントできるか、を明らかにした。
|