エンパワーメントを志向したソーシャルワーク実践の日本的展開を目指して、まず、アメリカソーシャルワークの文献を中心にレビューすることによって、エンパワーメント理論の精緻化を行った。さらにエンパワーメント志向のソーシャルワーク実践過程を分析することをとおして、エンパワーメントの意義・特質を導き出した。そこにおいて、エンパワーメント理論が実践においてどのように具現化されるかが明らかになった。加えて、権力理論についての理解を深め、ソーシャルワークにおいて権力(power)をどのように扱うのか検討した。また、エンパワーメントが、セルフヘルプグループ、フェミニズム、児童虐待防止プログラム等においても重要な概念となっているところから、他の領域で語られるエンパワーメントからソーシャルワークに適用できる点の抽出を試みた。 以上から得られた知見をもとに、日本のソーシャルワーカーの意識を知ることが不可欠と考え、医療ソーシャルワーカーを対象として質問紙票を用いて郵送調査を実施した。それによって、エンパワーメントを志向したソーシャルワーク実践が現場ワーカーにどのように認知され、具現化されているかについて、若干のてがかりを得ることができた。 エンパワーメントを志向したソーシャルワーク実践過程については、学会で口頭発表を行った。(日本社会福祉学会第45回全国大会、1997年10月)
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