本年度は、昨年度に続き、国内外の教育機関の資料を収集し、インターンシップ体験者からの聞き取り調査を行うと同時に、その効果の程度を検証した。また、香港(沖縄県人会、マカオ大学関係者)ではレビューの機会を持つことができた。 インターンシップに関しては、日本の大学が他の先進国に比べて極めて遅れを取っている分野であることは、前年度の報告にも述べた通りだが、研究者自身の専攻分野の関係もあり、今回は文系の中でも特に外国語系への導入を調査・研究した。グローバリゼーションの中で日本の外国語教育の在り方が問われているが、学生からのアンケートや聞き取りでわかることは、外国語を専攻している学生のほとんどは、将来外国語を活かした職業に就きたいと考えており、外国語について学ぶよりも外国語そのものを身につけたいと思っているということである。 ところが、外国語でコミュニケーションをするという必要性に日常迫られる環境にいるわけでもないため、外国語を臨界状態(つまり、仕事で使えるレベル)まで修得できない学生が少なくなく、さらにもう一つの問題として、実社会では外国語力のみで仕事をするというのはむしろ稀であり、それは何らかの業務を遂行するための手段の場合がほとんどであるという現実がある。 この外国語そのもののコミュニケーション能力をより高めることと、ボータレス化する実社会でそれを手段として活用できるようにするという二つの課題に対して、国際的なインターンシッププログラムは一つの解決策を示唆しているように思える。 例えばマカオ大学では、既に県内の私立大学から日本語教育の助手としてインターン生を受け入れているが、学生が教える側になって真剣に授業に取り組みながら実社会を体験して成長していく様子や、受講生である現地の学生たちと交流する必要性の中で培われる異文化間コミニュケーション能力の向上ぶりについて報告を受けたが、わが大学にも導入可能なモデルとして大いに参考になった。
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