本研究は、10代後半の不登校生の支援システムと支援プログラムの研究であり、本年は、その1年目の研究であり、その重点は以下の3点である。(1)全国の10代後半の不登校生の施設ならびに居場所における支援システムと支援プログラムに関して調査する。(2)10代後半の不登校生に合ったプログラムの持つ特質とは何かを明らかにする。(3)以上の点を踏まえて新たに不登校生を支援する支援システムをモデル的に構想する。以上が本年度の研究内容である。 (1)については、医療的支援施設と教育的支援施設に大きな相違があった。医療的支援施設における支援システムは、守られた空間ということもあって、個のケア-を最優先し、定期的なカウンセリングを重視し、個に応じた課題を提示して、その点検を面接で行っている。また、自由な心の躍動を重視して、音楽的活動、自然とのふれあい的活動も個の回復に応じて行われている。教育的支援施設においては、不登校生の自由を最優先にして、不登校生自身が活動を自ら選択し、決定して、好きな時間帯で好きな活動が許容される所と、予め活動内容が用意されていて、それにそって活動する所の2種類があった。この点については、不登校生は後者を歓迎しているようだ。 (2)については、(1)の調査によっても明らかなように、不登校生に合ったプログラムの特質とは、第一に創造性に富んだものであること、例えば音楽活動などはその典型的活動であろう。それは、傷ついた不登校生が自己否定感に苛まれて生きてきたが、そうした活動で自尊感情を取り戻すことができる。第二は、自由な自然とのふれあい活動である。例えば無目的な自由な散歩などは、格好の心の癒しになるようだ。第三は癒しのカウンセリングである。不登校生の生活する場においては、心を広げて、ありのままに聞いてもらえるカウンセリングのプログラムが、不可欠である。第四は心身の回復に応じて、ゆっくり挑戦できる学習プログラムである。不登校生はその殆どが、本音のところで、勉強したいという想いをもっている。このニーズに応えるプログラムの用意も不可欠である。 (3)については(2)のプログラムによって、モデル支援を試み、2年目の研究をはじめることにしたい。
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