本研究においては、ジンバブエと韓国・朝鮮の 1.植民地下における植民者と被植民者の分離教育 2.それに対して独立後の国民教育の形成の過程 を明らかにする事を目的とした。 本年度の研究においては、成果を中国で公表することによって、植民地期朝鮮の教育を国際関係から考察する視点を得る事ができた。 すなわち、報告後の討論で中国側から「中国東北地方と朝鮮は植民地教育の実施過程や就学比率が似ている。日本は朝鮮半島を基盤として東北地方を侵略した。『五族協和』といいながら不平等で、朝鮮半島の人は、東北地方に来て、その土地の人より地位が高い。日本はこの部分の朝鮮人を利用して、中国人をもっと同化しようとした。中国人からみて朝鮮人は『日本鬼子』に次ぐ『第2の鬼(二鬼子)』であった」という意見が出た。 中国側からのかなり感情のこもった意見が提出され、これまで朝鮮史の側から勉強してきた私の中では、中国東北部は朝鮮人が中国人の援助を得て抗日武装闘争を行なった場所であると認識され、そこにおける中国人・朝鮮人間の矛盾・葛藤が十分認識されていなかった事が意識された。今後は、解放後の朝鮮、中国、ロシアとの関連、またジンバブエと周辺国の関係を比較しながら国際関係と教育の関係を明らかにしてゆきたい。
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