本研究においては、ジンバブエと韓国・朝鮮の 1. 植民地下における植民者と被植民者の分離教育 2. それに対して独立後の国民教育の形成の過程 を明らかにする事を目的とした。 すなわち、植民地にしたということは、大きな経済的格差、低開発を作り出したということである。学問研究で言うならば、南アフリカを除いて(厳密に言うならば南アフリカで大学に進学できる人間を除いて)、アフリカの学生が何かを発信するのは現在でも不可能な状況にある。大学でも教科書がない。先生が講壇の上で口述して、それを学生が一生懸命筆記して、そしてそれを一生懸命覚えて試験に向かうというのが精一杯である。日本やアメリカ・その他の「先進国」で行なわれているような学生たちが「自発的に」様々な教材、コピーその他を多用して、「自発的な」学問研究を創造していくということは、大学院にいたっても困難な状況がある。そのような中で、大学教員はどこで作られるかというとヨーロッパへの留学という形で作られる。そうするとアフリカ諸国からの発信ではなく、「学問」はヨーロッパからの発信であり、それを受け止めていくものであるという状況を乗り越えていくことは難しくなる。この点に、独立後の国民教育形成の困難がある。 今後は、解放後の朝鮮、中国、ロシアとの関連、またジンバブエと周辺国の関係を比較しながら国際関係と教育の関係を明らかにしてゆきたい。
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