戦後各地にできた「自由大学」については、いまだその全体像が明らかになっていない現状がある。そこで、その基礎的研究を進めるために、すでに自由大学開設が明らかになっている地域から調査研究に着手した。 まず最初に静岡県三島の自由大学に焦点をあてた。三島の場合には、すでに静岡県史などで資料もおさえられているが、原資料の確認と関連資料の調査を実施した。さらに、直接自由大学にかかわった人物からの聞き取り調査も実施した。 また、静岡県内での動きをつかむために、新聞資料などについても図書館等で確認をし調査をすすめた。 同時に別のルートで入手した二つの新聞について、調査と分析をすすめた。 一つは沖縄で戦後すぐに発行された『自由沖縄』という新聞で、沖縄で「自由」という言葉にどれだけの重さを込めていたのかが判断できる貴重な資料である。 もう一つは、岩手県北上の高橋家調査で確認された『自由』という新聞である。これは東京で発行されたものであるが、その実態はまだつかめていない。戦後の混乱した社会の中で、「自由」という言葉が、民衆にとってどのようなものとして使われたのかを知る手がかりとなった。
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