研究課題/領域番号 |
09871087
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
清水 朗 一橋大学, 法学部, 助教授 (30235642)
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研究分担者 |
菅野 賢治 一橋大学, 法学部, 助教授 (70262061)
柏崎 順子 一橋大学, 法学部, 助教授 (20262389)
金井 嘉彦 一橋大学, 法学部, 助教授 (60169539)
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キーワード | 検閲 |
研究概要 |
日、英、独、仏それぞれ専門に扱う言語を異としながら、法と言語活動がクロスオーバーする土壌を新たに開拓してゆく作業が必須であるという共通認識に立ち、その端緒として、本研究は、法権力と文学とがもっとも直截に触れ合う「検閲」という事象をテーマに掲げた。当初の狙いとしては、権力が書籍業、印刷所を掌握し、直接管理することによって成り立っていた「事前検閲」(prepublication censorship)の時代から、出版活動の自由の行き過ぎ(政治扇動、猥褻、名誉毀損)を別に定める法規則によって罰するという「司法検閲」(judicial censorship)の時代への移行期にスポットを当て、時代をおおよそ18世紀から20世紀初頭までに限ることとしたが、研究の途上、言語活動に介入してくる権力のあり方そのものを問い直すなかで、「事前検閲」から「司法検閲」への移行は、必ずしもある時期、ある一点において完遂したわけではなく、あらゆる時代をつうじ、具体的事象のなかで徐々に進行したものと見なされるべきものであるという反省点も浮かび上り、時代設定の枠組みそのものの再考をうながされる結果となった。 ともあれ、日本のみならず、諸外国でも十全な研究対象とされたことのない「検閲」の制度をめぐり、立ち後れていた文献調査の面で大きな収穫を得たといえるだろう。なかでも、インターネットをつうじて、最近公開され始めたさまざまな文献データベースに接続することにより、随時、網羅的な資料調査の手段を確保したことは意義深い。
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