(1)北東アジアの日系企業の取引の実例とそのとき用いられた契約書の集収:中国については、大連市進出の日本企業のいくつかについて、担当者と面談しかつ契約書を収集した。北朝鮮については、朝・日輸出入商社を通じて一般的な契約ひな型及び実際の取引例を調査した。但し、費用と政治的情勢の不安定性のために、充分な信頼度を確信できていない。ロシア沿海州への進出企業については、大手商社担当者とのインタビューでは、必ずしも思った程の情報を得ることができず、新潟市役所及び新潟県庁の担当者とのインタビュー、環日本海経済研究所への訪問、新潟の民間ロシア研究シンク・タンクなどから有益な資料を収集した。 (2)現在、収集した資料を大学院生中心のアルバイトを使って整理し、研究代表者がまとめたデータその他をコンピュータに入力中である。近い将来の有益なミニ・データベースの作成をめざしている。ただ、非常に複雑な取引が多く、為替相場が不安定であるので、個々の定例の定量的比較がむづかしく、法的エンジニセリング技術の有用性の判定基準のみきわめがむづかしいことを発見した。ただし、この分野は専門家がいないので、自由な発想のエンジニアリング技術を構想することもできる学問的たのしみがある。専門用語の中国語訳、ロシア語訳、ハングル語訳もかなり問題がある。 (3)研究の途上であるが、1本の学術論文及び1冊の単行本を発行した。中間報告である。ただし、問題提起に終わっているところもある。将来更に研究をち密化してゆく。
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