* 平成9年度は、準備期間として、資料収集に主力を置いた。8月、9月、2月および3月に、各数日にわたって国立国会図書館にて、資料収集を行った。また、インターネットを用いて、できるだけ実務レベルの情報が入手できるように、検索に努めた。たとえば、アメリカのNRCの会議録にとどまらず、サブ・コミッティの会議録にも眼を通すようにした。これらを内容的に整理すれば、以下の通りである。 1 原発防災の必要性が導かれる根拠にかんするもので、事故の国民・住民に与える影響にかかわるものの把握は、おおむね完了した。また、従来、各地の原発訴訟においても正面から取り上げられるだけの資料が十分でなかった日常被曝にかんするデータがかなり集まるようになってきており、たとえば、日本電力中央研究所「電中研レビュー」No.33などを手掛かりとして、日本・アメリカ・ロシアの研究者による業績から、低線量被曝の影響にかんしても、基本的なところは、把握できた。 2 アメリカの原発防災にかんする法制および実態の把握については、資料はかなり収集できたと考えられるが、読み込みが完了しておらず、定かな評価をだす段階にはなっていない。ただ、日本でも問題となってきている情報公開について云えば、基本姿勢における彼我の違いは、改めて衝撃的である。たとえば、アメリカの資料では何百枚もの読破から、つかいものになるところが、2-3行であるとしても、その他を読んだことが徒労にはならないこと多い。関係する委員や事業者や労働者や市民たちが、原発または原発防災とどのように向かい合っているかが見えやすいからだろう。全体状況が把握しやすい。 3 カナダとスウェーデンについては、原発防災の基本的法制は把握できたが、実態面についてはなお資料が十分には収集しきれていない現状にある。
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