研究概要 |
今年度、とくに学んだこと: ・ アメリカの原子炉の開発が小型化しているのは、輸出先の事情によるものと思っていたが、安全性追求のひとつの成果でもあることに、気づかされた。60万KW級であれば、自然循環で対応できるから、ポンプが不要となり、また原子炉に接続する配管を減らすことができる。溶接部がそれだけ減るということでもある。電動ポンプは停止する可能性があるが、ポンプがなければ、その停止によるトラブルの心配はいらない。 (武谷三男が岩波新書で「原子力発電」を書いたとき、概念図に再循環ポンプはなかった。大型化の問題が確かにある。ラサール事故の心配はなくなる。)異常時に安全側へと積極的に対応する機器が減れば、それだけヒューマン・エラーが避けられるということにもなる。 1970年代に入って、国民の安全性要求を無視できなくなり、とりわけTMIの事故を契機として、NRCが次々に規制強化を試みたが、概念設計を変更しないまま、いろいろな設備を追加していくやり方では、無理があることから、新しい概念設計に切りかえたほうが得策であるとされた。このとき、カナダのキャンドウー炉が参考にされている。 ◆ EPZ(Emergency Planning Zone)の10マイル、50マイルの根拠 ・ プラントの要求で、一旦一年に1回行われ,るようになったサイトの防災訓練が二年に1回でいいようになったものの、訓練およびその結果の評価などについて、日本では配慮されていない工夫がある。 ・ 低線量被曝の影響について 世界各国の被曝データをプロットしてみる(ブルラコワ)と、ICRP勧告の原発労働者にたいする20mSv(年平均)が低線量領域で影響がもっとも大きいピークと一致する。 * 平成11年度も引き続き、表題の研究を深めたい。
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