本研究は、道路、河川、森林などの社会的共通資本を環境要因として捉えた2部門の経済モデルを作り、効率性と両立可能な環境政策のあり方を考察した。 本研究で用いられるモデルは、2つの最終消費財、1つの私的生産要素、および社会的共通資本からなる。私的生産要素は労働と考える。最終消費財と私的生産要素は完全競争的な市場で取り引きが行われれる。社会的共通資本は一国内の民間企業によってのみ利用される。社会的共通資本は利用料金を支払うことで、民間部門が望む量を利用することが出来る。しかし、経済全体での利用総量が増大すると、混雑現象により民間部門の生産性を低下させる。社会的共通資本のストックは一定で変化しないような短期を考える。 このような経済モデルにおいて、次のような結論を得た。政府が常に社会的共通資本の社会的限界費用と利用料金を等しくすれば、貿易の開始によって常に利益が得られる。また、社会的共通資本の総利用量を規制し、社会的共通資本サービスの利用する権利を民間部門で売買させるシステムを作ることによっても、同じように貿易による利益が得られる。国際的な社会的共通資本の導入や動学的なアプローチへの展開は、今後の課題として残されている。
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