研究概要 |
(1)主要新聞の所蔵状況調査と複製の収集 昭和金融恐慌当時の各地主要日刊新聞(1927年時点での発行部数10,000部以上)96紙について各地図書館等での所蔵状況を調査し,うち76紙の所蔵を確認した.平成9年度においては,このうち31紙について、1927年3月〜5月の記事をマイクロフィルム複製等によって収集した. (2)データベースの試作 情報伝達の質・量・速度についての全国的マクロ分析を行うために,収集した新聞記事を材料として,文字情報データベースの試作をおこなった.また,文字情報データベースと連動した画像データベースの作成に向けて,新聞マイクロフィルムからのデジタル画像の作成ならびにパーソナルコンピュータ上でのデジタル画像処理方法についての予備調査をおこなった.既成の「イメージ・ファイリング・システム」等の利用可能性を検討したが,仕様・価格の点で難があり、より簡便で安価な処理方法を模索している. (3)ミクロ分析対象地域の検討 7〜8の都市を選定して金融恐慌に関する情報の受容過程についてミクロ分析をおこなう計画であり,平成9年度にはその対象地域の検討作業をおこなった.新聞の刊行並に残存状況と金融恐慌の発現状況を勘案し,東京,大阪,京都,神戸,名古屋,札幌,秋田,仙台,福島,長野,新潟,静岡,山口,徳島,愛媛,高知,福岡,熊本を候補とし,これらの各地域について,日記・手記・各種地方史資料等の所蔵状況についての調査をすすめたが,現時点では,対象地域を絞りきれていない.
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