研究概要 |
1. 主要新聞の所蔵状況調査と複製の収集 昨年度に引き続き,昭和金融恐慌当時の各地主要日刊新聞(1927年時点での発行部数10,000部以上)について所蔵状況を調査し,1927年3月〜5月の紙面をマイクロフィルム複製によって収集した.所蔵を確認した76紙のうち36紙の紙面を本年度末までに収集した.また,恐慌報道の歴史的変化を検討するために,時代を遡って新聞紙面を収集した. 2. データベースの作成 情報伝達の質・量・速度について全国的な差異の有無を検討するために,収集した紙面からの記事データベース(文字データベース)の作成にとりかかった.金融恐慌の展開過程に沿ってチェック項目を設定し,それらの第1報の掲載日時と掲載面積のデータを入力した.情報の質については,見出し文言のデータベース化による紙面比較の可能性を探っているが,また試作段階である. 文字データベースと連動した画像データベースの作成に向けて,マイクロフィルムからのデジタル画像の作成とパーソナルコンピュータ上でのデジタル画像処理方法について引き続き調査を進めたが,仕様・価格等の難点があり,残念ながら現時点では実用性のある画像データベース構祭のめどはたっていない. 3. ミクロ分析用資料の調査・収集 金融恐慌情報の受容過程分析に利用しうる資料の所在調査を,東京大学,一橋大学,国立国会図書館,国立史料館などで行なった.本年度は刊行されている各種回想録・手記類を中心に調査を行なった.次年度には,地方史資料などを対象に,日記・手記類の調査を行なう予定である.
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