研究課題
無限次元射影幾何は現代数学の様々な分野で出現する。代数幾何学と微分方程式論の交差するPainleve方程式論で次のような成果があった。(1) painleve方程式はaffine Weyl群をBaecklund変換群として持つがその起源は明らかではなかった。岡本により構成された初期値空間のコンパクト化である有理代数曲面Xの代数幾何学的な考察にから、それを説明した。一言で言えば、Baecklund変換は、有理特異点を持った代数曲面の変形に由来することを証明した。(2) painleve方程式はHamilton表示を持つが、Symplectic構造、Hamilton関数の起源も大きな謎であった。やはり上記の代数曲面の変形から、それらが何に由来するのかを幾何学的に証明した。すなわち、上記の記号を用いると、代数曲面Xより因子Dを引くことによって、岡本の初期値空間x-Dが得られる。x-D上には消えない代数的2形式が定数倍を無視して唯一つ存在すること。曲面Xの倉西族を考えたとき、開曲面x-Dの変形は自明であり、その自明化を与えるのが、Hamilton関数の与えるcocycleであることを示した。
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