非線型光学報告 非線型光学は光と物質との相互作用をもつ光の伝播を研究する分野であり、工学的にも物理的にも大変重要な研究対象である。そのもっとも重要な例は、いうまでもなく、ゲル、ブルスラー、フランクリンらによるレーザーの発見である。工学的にも、物理的にも大いに研究されているが、数学的な基礎は、ほとんどなされていない。数学的には、この非線型光学における現象を記述する方程式は電磁気学であらわれるマックスウェル方程式でポーラリゼーションが電磁場に非線型的に依存している場合である。この2年間において、研究代表者 増田は次の事を示すことができた: 1 (非線型的な)光がケーブルを伝播する状況を考察した。ただし、切断面がふたつの凸の曲線の間の領域の場合である。増田はケーブルの外側の(数学的には)境界条件を適当に制御することにより、光のもつエネルギーが減衰するようにできることを示すことができた。さらに、物体にあたる(非線型)光についても研究し、筑波大学における研究集会(1999年2月)で報告した。 2 定常波(定常解)については、本質的にある種の非線型ラプラス方程式となる。領域が凸領域で境界条件がディリクレーの場合は、Pohozaevがそのような定常解は存在しないことを示した。増田は、このよな結果が、多くの凸でない領域でも成立することを示した。 3 このような研究において、曲面が大切である。特にこの2年間で2次元複素射影空間への極小埋め込みについて、従来予想されていた幾何学的問題を解決した。
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