研究概要 |
本研究課題の目標は以下の4点を調べることにある。(1)パンルヴェI型微分方程式の「P-解析」で現れる第1積分の代数幾何学的意味(2)固有な標数における他の5つのパンルヴェ方程式の可解性(3)パンルヴェ方程式の代数解との関連(4)このような諸現象の数学的意味。 正標数の微分方程式の研究は、線型微分方程式については深い結果があるが、非線型微分方程式に関する研究はあまり知られていない。そこで、微分方程式の「P-解析」の最初の対象として「P-線型」微分方程式を調べることにした。これは,これまでの試験的研究においてもくり返り現れたものである。パンルヴェI型微分方程式もこの場合に帰着することがわかった。 本年度は,上記(1)、(2)の数理実験と数学的研究を進め、(1)については標数が5のとき、形式級数で表わされる解が完全に決定された。また、この研究の発展としてある標数において可解となる特別な「P-線型」微分方程式のクラスがわかった。パンルヴェII型方程式はこれの特別な場合であり、(2)についての部分的結果も得られた。並行して、研究代表者は(3)と(4)をすすめたが、今年度は具体的なテーマを確立することを目標とした。残りの研究期間において、本研究をすすめるが、そのための第一歩の成果は得られたのではないかと信じている。
|