非線形偏微分方程式の実解析学的取扱いの研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09874032
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 宮川 鉄朗 神戸大学, 理学部, 教授 (10033929)
• 研究分担者: 川島 秀一 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (70144631)
• キーワード: Navier-Stokes 方程式 / 輻射気体の方程式 / 初期値問題 / 弱解 / 古典解 / 時間減衰 / 爆発 / Hardy 空間

研究概要

宮川は全空間における非圧縮性Navier-Stokes方程式の初期値問題の弱解の時間減衰を論じた。解の有界性やなめらかさの問題が未解決のため,点ごとの減衰の代わりに,空間方向に解を積分して得られるLpノルムの時間減衰を調べた.従来はp>1の場合だけが取り扱い可能だったが,Hardy空間の理論を有効に用いて,本研究によって初めてp=1の場合を扱い,通常の熱方程式の場合とは異なり,弱解がL^1においても常に減衰することを証明した。結果は次頁の二篇の論文に発表された.さらにまた宮川は,上記の結果をn/(nh)<p(nは空間次元)にまで拡張し,指数p=n/(n+1)がこの問題における臨界値であることを示したが,これについては現在論文を投稿中である.
川島は1次元輻射気体の初期値問題について古典解の大域的存在問題と爆発問題を研究し,それぞれに対して結果が成り立つための十分条件を得た.さらに爆発点の時間空間分布を調べ,それが一直線上にあることを示し,双曲型保存則に対して知られた結果をこの方程式の場合に拡張した.これらの結果は次頁記載の論文に発表の予定である.

研究成果

• [文献書誌] Tetsuro Miyakawa: "On L^1-stabilit∂ of stationary Navier-Stokes flows in R^n" Journal of Mathematical Scienes, University of Tokyo. 4・1. 67-119 (1997)
• [文献書誌] Zhi-Min Chen, Tetsuro Miyakawa: "Decay proberties of weak solutivns to a perturbed Navier-Stokes system in R^n" Advances in Mathematical Sciences and Applicatims. 7・2. 741-770 (1997)
• [文献書誌] Shuichi Kawashima, Shinya Nishibata: "Cauchy problem for a model system of the radiating gas : weak solutives with a jump and classical solutiuns" Mathematical Models and methods in Applied Sciences. (発表予定).