1.研究課題について、国内の研究集会において、得られた結果を公表し、また、カリフォルニア大学のL.C.Evans教授を訪問し、レビューを受けたりしながら、研究を進めた。 2.超曲面のGauss曲率流について、初期曲面の平坦部分が動き出すまでの待ち時間に関する基本的な研究を行った。得られた結果は、(1)初期曲面の一点において、二つの主曲率が0であれば、その点の待ち時間は正であること、(2)初期曲面の一点において、高々一つの主曲率が0であるならば、その点の待ち時間は0であること、(3)初期曲面が凸であれば、各時刻において、Gauss曲率流はとつであること、(4)Gauss曲率流においては、超曲面の肥満化現象はおこらないこと、(5)初期曲面が滑らかであっても、平坦部分を持つならば、Gauss曲率流は必ずC^2級ではなくなること等である。これらの結果は現在論文として、準備中である。 3.Fireyによれば、Gauss曲率流は海岸、あるいは海底での岩石の摩耗の過程を記述するモデルである。ただし、初期時刻における岩石が凸体である場合にのみ、このモデルは有効である。一般の形状の岩石に対するモデルの提案は応用上重要であり、しかも待ち時間の考察にも重要と思われる。このモデルの提案について、考察を進めている。その過程で、Gauss曲率流に対する一つの近似アルゴリズムを発見した。このアルゴリズムは幾何学的であることが特徴である。このアルゴリズムについて、初期曲面が凸であれば、Gauss曲率流に収束することを証明した。これについては現在論文にまとめている。
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