研究課題について、国内の研究集会において、得られた結果の公表と研究討議を行い、また、オーストラリアのミッション・ビーチで行われた国際研究集会において研究成果の公表を行いながら、研究を進め、以下のような成果をあげた。1.超曲面のガウス曲率流について、初期曲面の平坦部分が動き出すまでの待ち時間に関する基本的研究について、昨年度に得られた結果を中心にまとめ上げた。おもな結果は以下のものである。(1)超曲面が平坦部分を持つならばガウス曲率流は必ずC^2級ではなくなる。(2)初期曲面の一点において、二つ以上の主曲率が0であれば、その点の待ち時間は正である。(3)初期曲面のある点について、その点で高々一つの主曲率が0であれば、その点の待ち時間は0である。2.ガウス曲率流は海岸での岩石の磨耗過程を記述する数学モデルである。ガウス曲率流は凸曲面に対してのみ、この磨耗のモデルとして意味を持ち、曲面が凸でない場合には磨耗のモデルとしては不適切である。さらに、数学的にも凸でない場合には、一般的に言えば、与えられた初期曲面に対してガウス曲率流は存在しない。曲面が凸である場合の磨耗のモデルであるガウス曲率流に対応する、曲面が凸でない場合の磨耗の数学的モデルを提案し、その存在と一意性と安定性を証明した。この結果については、現在論文として纏めている。3.ガウス曲率流に対する一つの幾何学的近似アルゴリズムを発見し、その近似アルゴリズムのガウス曲率流への収束を証明した。4.ガウス曲率流あるいは岩石の磨耗の確率近似モデルを提案し、凸曲線の場合にそのガウス曲率流への収束を証明した。
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