研究概要 |
重量を量子化する方法として高次元超弦理論に基づくアプローチと格子上に重力場変数を置く格子量子重力のアプローチの二つを並行して調べている。どちらの方法においても系の時間発展を確率過程により記述し,重力および弦の量子論に特有な量子状態に対する拘束条件を平衡極限で実現する。この様な確率過程は拘束条件をハミルトニアンとするフォッカープランク方程式(およびそれと同等なランジュバン方程式)により導入さる。具体的には次の点を明らかにした。向き付け不可能な閉弦と開弦を含む非臨界次元の弦理論を行列模型から構成し,この行列模型に基づく弦の場の理論の連続極限を解析的に求め,フォッカープランク方程式の連続極限における代数的構造を明らかにした。特に向き付け不可能な弦理論の特徴としてSO(r)カレント代数が含まれる事を示した。さらに物質場が結合して場合についても同じ代数構造が実現される事を示した。この連続極限を数値的に実現するプログラムを現在開発中である。4次元格子量子重力については,時間発展を記述するランジュバン方程式を構成した。これに同等なフォッカープランク方程式の弱結合領域での連続極限はよく知られている4次元格子量子重力の拘束条件を実現する事を示した。また,観測可能量として時空間の2点間の測地線に対応する演算子を格子上の変数を用いて構成した。一般座標変換に対する理論の不変性の厳密な定式化によ現時点では成功していない。数値的には格子正則化の連続極限が存在すればそこでは回復すると期待される。この格子正則化は3次元格子量子重力でも可能であることが示せ,数値計算は3次元格子量子重力(2次元格子上の重力場変数の確率過程による時間発展)に対して行う予定である。
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