本年度は、以下のような研究を行った。 ・ Quasi-Democratic質量行列は質量スペクトルとCKM弱行列要素の実験値を再現することが知られている。そのような質量行列の起源を探るため、Branco等の提唱する湯川相互作用の普遍強度仮説を普遍シーソー機構に適応した。ゲージ対称群をSU(3)×SU_L(2)×SU_R(2)×SU(1)とするモデルが実験結果を良く説明し且つシーソー機構の欠点を補うことを見い出し、それらの成果を論文として発表した。 ・ 上記のモデルを、大きい対称群SU(4)_L×SU(4)_R×SU_L(2)×SU_R(2)×SU(1)に拡張し、クォークとレプトンの統一的記述を試みた。ニュートリノの質量を抑制する機構と混合角に対する予言をまとめて論文として発表した。 ・ Sogamiは、スピノール場の共変微分概念を拡張することにより、ヒッグス場に対して「場の強度(曲率テンソル)」を導入した。この考えの自然な発展として、共変微分にスピン接続を含ませて重力場の分析を行い、アインシュタイン・ヒルベルト重力の拡張である高階微分重力理論に到達した。その成果を論文としてまとめつつあり、この理論が抱える量子化や宇宙項問題等の研究を開始した。 ・ CERNに半年滞在し、多くの研究者と討論して素粒子物理学の動向を把握した。その間、Max Planck研究所、Bern大学、Goteborg大学を訪問しセミナーで研究発表を行った。また、当萌芽的研究の課題を主テーマとして、平成10年12月4日と5日の両日、全国より20余名の研究者の参加を得て京産大で研究会を開催した。
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