本研究の目的は遷移金属酸化物に高圧下で電気化学的手法によってキャリアード-ピングをすることにある。ところが溶液中での電解酸化はMnO_2など電気化学の分野では確立された手法であるが高圧下での電解酸化はほとんど開拓されていない。本研究では初年度には比較的試料体積の大きくとれるピストン-シリンダー型高圧発生装置を本研究費で製作し次年度内には酸化物超伝導体の電解酸化の圧力効果の実験を行う計画である。本年度製作した高圧発生装置は現在加圧テストを行っており電極はリ-ド線をスタイキャスト(エポキシ系接着剤)でシールすることでとりだす。実際最近発見された新しい超伝導物質のスピンラダー物質などいくつかの試料を用いて高圧下の電気抵抗測定を行っている。電解酸化の設備は本研究費で直流電流源を購入し立ち上げた。一方試験物質としてLa_2CuO_4の合成を行い、一気圧下でNaOH溶液中で電気分解を行った。La_2CuO_4は酸素が導入されることによって超伝導を発現することが報告されているので超伝導転移温度、超伝導の体積分率などを電気抵抗、帯磁率測定から詳しく解析する予定である。
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