研究課題/領域番号 |
09874090
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 大二 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30001655)
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研究分担者 |
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
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キーワード | 河川水温 / 河川水質 / 流出過程 / ハイドログラフ分離 |
研究概要 |
北海道北部の雨竜川源頭部の新第三紀火山地帯において、融雪出水時に厚い積雪下の川の水温が徐々に上昇し、3〜4℃に達することが判明した。この水温は融雪水の温度0℃よりかなり高く、川も積雪によって外界の熱源から遮断されている。従って融雪期の3〜4℃の流出水は、その大部分が地中で暖められて川に出てきたものと考えざるを得ない。 8,9月の降雨による出水時の川水温は、融雪出水時とは対照的にピーク流出後下降し、9〜11℃に漸近する。融雪期及び暖候期のそれぞれの出水時に漸近する川水温は、いずれもその時期のこの地域の約1.8m深の地温に相当している。ハイドログラフと水温の変動をつきあわせた結果、1.8m深地温相当の水温をもつ地中流出成分に、融雪水または降雨の水温をもつ浅層流出成分が、一時的に混入したものがこの地域の洪水流出であると仮定して、ハイドログラフの2成分分離を行った。その結果地中流出成分は8〜9割を占めた。 また、川水温の場合を参考にして、川水の比電導度によるハイドログラフの分離も行った。流出ハイドログラフと水温の変動をつきあさせた結果、1.8m深地温相当の水温をもつ地中流失成分に、融雪水または降雨の水温をもつ浅層流出成分が、一時的に混入したものがこの地域の洪水流出であると仮定して、ハイドログラフの2成分の分離結果は、水温によるものと電導によるものがほぼ一致した。水温と電導度対流出量のプロットによるヒステリシスループとハイドログラフ成分の分離結果のつきあわせにより、試験流域(1km^2)の流出過程が次のように判明した。大出水の流出水は初期には深い流出であったものが、流出ピーク直前に浅い流出の割合が最も多くなり、その後減水後期にかけて深い流出に置きかわる。 中規模の流域(1000km^2)においては降雨から約12時間で流出ピークとなったが、試験流域と同様にピーク流出直前(約2時間前)に浅い流出の割合が最も多くなる。その後深い流出に置き変わるが、その動きは緩慢である。
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