研究課題/領域番号 |
09874099
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
すぎ山 哲男 福岡大学, 理学部, 教授 (50131826)
|
研究分担者 |
長井 孝一 琉球大学, 理学部, 助教授 (30117197)
田口 幸洋 福岡大学, 理学部, 教授 (00108771)
|
キーワード | 礁性石灰岩 / 流体包有物 / 生成環境 / 続成環境 / 古環境復原 |
研究概要 |
初年度は、生成環境の異なる石灰岩試料を採集し、石灰岩に残された流体包有物から得られる古環境情報の有効性を確認することに主眼をおいて研究を行った。 〓山と長井は、地質・古生物学的な証拠から古環境復原が可能な石灰岩試料を、山口県秋吉石灰岩、宮崎県祇園山および沖縄県琉球石灰岩から採集した。秋吉では石炭紀中世の礁平原相が広く分布する長者が森周辺域で、造礁化石試料および流体包有物を含むと思われる石灰岩試料を採集した。また、祇園山地域ではシルル紀中世のウミユリ化切片を、琉球石灰岩では、礁平原の中に発達したポケット状空間に産出する造礁生物群と充填堆積物試料の採集を実施した。また、田口は石灰岩試料からの均質化温度の測定に用いる比較材料として、鹿児島県給良および霧島地域で温泉沈殿物の試料採集を実施した。これらの野外調査の結果、生成環境や時代の異なる様々な石灰岩試料を多数採集することができた。 包有物観察用試料の精製方法の確認をかねて、〓山と田口は秋吉石灰岩に産出する方解石脈の劈開が発達しているcalciteを観察した。その結果、常温の顕微鏡下での観察では、まれに2-phaseの包有物が認められ、これらから1試料のみ均質化温度(TH=176℃)と氷融点温度(Tmice=-0.5℃)が得られた。この氷融点に相当する見かけの塩濃度は0.88%である。一方試料中に多く含まれるmono-phaseの包有物は、100℃以下の低温で結晶中に取り込まれた液体が、あるいは高圧下で取り込まれたCH4などである可能性があり、今後冷却実験やmicro-FTIR分析などを行い、取り込まれたmono-phaseの包有物の同定を行う必要がある。なお、石灰岩試料中の包有物は微細なものが多く、冷却加熱実験の際に相の観察がしばしば困難であり、今後なるべく大型の包有物を見いだす工夫を行う必要がある。
|