研究課題/領域番号 |
09874142
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 光 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90195800)
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研究分担者 |
加藤 博雄 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (20152738)
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キーワード | X線光電子分光法 / 四塩化炭素 / シリコン / 液体 / 終状態安定化 / アセトニトリル / 界面準位 / MOS |
研究概要 |
1.固体内に液体を有効に閉じ込める方法を開発した。まず、超高真空中で基板を77Kに冷却し、そこにアセトニトリル、四塩化炭素などの蒸気を露出し、これらの氷薄膜を形成した。この上にイオンクラスタービーム蒸着法を用いて金薄膜を堆積し、この試料を室温まで昇温することによって、液体がうまく薄膜と基板の間に閉じ込められることを確認した。これらの試料のX線光電子スペクトル(XPS)は、気体のスペクトルに比較して数eV低エネルギー側にシフトし、さらに幅広くなることが分かった。これは、光電子放出によって生成したホールが、金属薄膜と基板に存在する自由電子によって遮蔽され、終状態が安定化されたためであると結論した。さらに、基板の種類(金属、半導体、絶縁体)によって終状態の安定化エネルギーが異なり、XPSピークの形状に違いが現れることを見いだした。 2.金属-酸化物-半導体(MOS)構造は上気の試料の液体を酸化物に置き換えた構造をもっている。このMOS構造の酸化物/半導体界面に存在する界面準位のエネルギー分布を我々が開発した新しい方法"バイアス電圧印加時のXPS測定"によって観測した。シリコン/酸化膜界面に存在する界面準位の準位密度は、界面のラフネスに大きく依存し、また、そのエネルギー分布は酸化膜の原子密度に大きく依存することを見いだした。さらに、シアン処理(シリコンをKCN水溶液に数秒浸しその後沸騰水で洗浄する処理)によって界面でSi-CN結合が形成され、これに伴い界面準位密度が大幅に低減することを見いだした。さらに、シアン処理をシリコンMOSトンネルダイオードに応用することによって、電気的特性が向上することを見いだした。
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