研究概要 |
本研究では、オゾンホールが生じた時に起こる天然有機化合物の光化学反応を想定し、光化学反応の生成物/前駆体比を用いて、大気の酸化能力を見積もる手法の開発を目指す。本年度は、オレイン酸(C18:1脂肪酸)をはじめとする不飽和脂肪酸を酸化し、反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離・精製後、カルボン酸類をGC/MSにより検出を試みた。オレリン酸は多くの生物によって合成され大気中に広く存在する有機物であるが、オゾン・過酸化水素・OHラジカルによりω9位の二重結合の部位で開裂することが予想される。本研究では、オレイン酸の簡便な酸化によって、アゼライン酸(C9α,ω-ジカルボン酸)の生成をガスクロマトグラフによって確認した。これは、オレイン酸に特有な酸化生成物である。又、いくつかの未同定ピークを極性画分のガスクロマトグラム上に見出したが、それらの構造は現在質量スペクトルを解析することにより推定中である。又、酸化反応の系を改善するために石英セルを用いた反応容器を現在準備中である。
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