本年度は、結合成分のなるべくすくない、分離細胞骨格の調製法およびその特性の検討を中心に実験を行っている。 ニワトリ初期胚より調製した骨格筋筋管細胞および線維芽細胞を培養基質より剥離し、デタ-ジェント処理した後ショ糖密度勾配遠心により細胞骨格を分離し実験の基本モデルとした。デタ-ジェントとしては、Triton X-100のほか、ジキトニン(0.05%)が有効であった。また、20%sucroseをクッションとして遠心することにより核を除去することが可能となった。 I分離細胞骨格の基本的性質 電子顕微鏡および蛍光抗体観察によれば、分離細胞骨格はマイクロフィラメント、中間径線維そして微小管の3次元的網目構造より構成されている。2次元電気泳動及びイムノブロットの結果β・γ-アクチン、チューブリン、ビメンチン(線維芽細胞)が分離細胞骨格の約80%を占めていることが明らかになった。チ-ブリンの含量は形態観察から推量されるより高い。分離細胞骨格における微小管の存在状態については、いくつかの問題点が存在すると考えられる。 II分離細胞骨格線維の特性 (1)無細胞蛋白合成系との反応から、分離細胞骨格にmRNAが結合していることが示された。特異的に発現しているタンパク質があるかを検討中である。 (2)分離細胞骨格を96穴プレートに固定化し、分離細胞骨格の内在性酵素活性の定量を試みている。 (3)「可溶性分画」の指標酵素の一つとしてaldolaseとの相互作用を現在解析中である。
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