研究概要 |
本年度は、昨年度明らかになったAlloAレクチンのマカク類および新世界ザル類の血液培養における分裂促進の有効性をより正確に把握するため、AlloAの供与量効果検定を行った。ニホンザル4頭およびアカゲザル,6頭の血液1mlを5段階のAlloA含有量(0,1,4,10,20μg/ml)の異なる培養液で培養し分裂細胞数を測定した結果、10μg/mlが最も高い分裂促進効果を示した。さらに、リンパ球幼若化現象やアポトーシス抑制効果も、AlloAの方が従来使用していたConAよりも優れていることが明らかになり、今までのところ、マカク類の血液培養にはAlloAが最適な分裂促進剤だと思われる。これらの結果は昨年のデータとともに論文としてまとめた。その最適な培養条件で染色体標本を作製し、カニクイザルおよびコモンマーモセットの染色体彩色プローブの作製を試みているが、染色体の削り取り数が少ないとDNAの回収率や品質が不安定であることが判明したため、現在各染色体あるいは特定部位を可能な限り多数(100本〜500本)掻き取ることに力を入れている。染色体の掻き取り数が充足された段階でPCR増幅にかかる予定である。
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