研究概要 |
1.低温,高磁界中表面磁気光学効果測定装置の製作 希土類薄膜の磁気光学スペクトルを測定するには,現有の磁気光学効果測定装置の測定温度:室温,最大印加磁界:1.5kOeの仕様では不十分である.そこで,低温,高磁界中で測定するためにクライオスタットおよびマグネットを製作した.主な仕様は,(1)最大印加磁界:20kOe,(2)測定温度保持時間:10時間以上,(3)到達最低温度:15Kとした.これを達成するために,マグネットのポールピースをクライオスタットの内部に挿入した形状に設計した.その結果,(1)マグネットのギャップ1cmまで縮めることで最大印加磁界20kOeを達成した.(2)液体窒素,ヘリウムフリーの冷凍機を用いることで長時間の連続安定測定が可能となった.(3)試料ホルダーと冷却ステージの形状,密着性を向上させ,試料温度を最低15Kまで±0.1Kの精度で制御できた.その他の特徴としては,光導入用の石英窓をマグネットヨ-クの外側に配置し,漏れ磁界によるバックグラウンドシフトの影響を少なくした.また,試料の位置決めを容易にするため,回転ステージ機構を採用した. 2.Gd薄層の作製 ガラス基板上に5×10^<-10>Torrの超高真空中でGd薄膜(1000Å)を作製した.膜表面に酸化防止膜としてMgF_2を100Åコーティングした.この磁気光学スペクトルおよび磁化曲線を室温で測定し,バルクの報告値とほぼ一致することを確認した.来年度は試料の厚さを薄く(≦100Å)し,製作したクライオスタットを用いて低温で測定を行う予定である.
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