研究概要 |
本研究では,スーパールミネッセントダイオード(SLD)を用いた大規模な多波長集積化光源の実現を目指し,SLDの広帯域化,高出力化について実験的に検討するとともに,半導体飽和光増幅器を用いた新しい低雑音化の手法の提案とその基礎検討を行った.具体的な研究結果は以下の通りである. ア)テ-パ構造SLDのモデリングを確立し,長尺化とテ-パ構造の導入により,レーザと同程度の高効率化とワット級の高出力SLDの可能性を示した. イ)実際に歪量子井戸構造を活性層とするテ-パ形状の高出力SLDを有機金属気相成長法を用いて製作し,パルス電流動作で800mWの高出力動作を達成した. ウ)不均一量子井戸構造を用いたスペクトル広帯域化の手法を提案し,実際に3種類の層厚の異なる量子井戸構造を用いて,帯域幅100nmに及ぶ広帯域SLDを実現した. エ)半導体光増幅器の非線形飽和出力特性を用いた,インコヒーレント光のスライス光の雑音低減の新しい手法を提案し,進行波レート方程式を用いたモデリングを行い,その強度雑音低減の効果を明らかにし,多波長光源の大規模化の可能性を示した. オ)半導体をベースにしたアレー回折格子光分波器と高出力SLDをモノリシックに集積する形式を提案して,新しい多波長集積光源の構成法を提示した.
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