研究課題
本研究では、光の波長限界を超えた極微小な領域に局在する光近接場の特性を活かして、光の波長以下の、ナノメートル寸法の領域に、粒子としての光(フォトン)をいかに効率よく閉じ込めるかをテーマに研究を行った。具体的な研究内容として、(1)近接場光学顕微鏡で用いる、ナノメートル寸法で鋭利な探針先端に表面プラズモンの局在モードを励起する、(2)平面基盤上に真空蒸着した金属薄膜の微細加工を行い、通常の2次元伝搬モードである、表面プラズモンを特定領域に閉じ込める、以上、2つの場合について行った。具体的な研究内容と成果について以下に記す。(1)以前、先鋭化光ファイバー製探針先端に非常に滑らかで機械的強度が強い金薄膜を蒸着する技術を得ており、今回その技術を用いて、局在プラズモンの理論式をもとに所属する研究期間に設置されているR6G色素レーザーの可変波長内に共鳴点がある局在モードを求め、その条件に合うように作製した。実際に共鳴が起きるかどうかはコレクションモードの近接場光学顕微鏡で確認した。その上で共鳴波長で形成された近接場領域へ探針先端を徐々に近づけた時の検出光強度の変化を偏光条件を変えて測定した。結果、探針先端に局在モードが励起される偏光条件では近接場光強度の距離依存性よりもさらに一層鋭い距離依存性が得られた。(2)電子ビームにより、ガラス基板の金蒸着膜上に塗布したレジストの2次元的な周期構造を作製し、収束イオンビームにより、光の波長の1/2程度の幅の短冊状の金薄膜の周期構造を作製した。作製した膜に実際に表面伝搬モードのプラズモンを入射させ、散乱光を今回購入した冷却CCDカメラで、近接場強度分布を近接場光学顕微鏡で観察した。結果、散乱光は、単一の薄膜探面部に比べてかなり抑えられており、周期構造部の近接場強度は伝搬部に比べ非常に弱く、境界部での高い反射が得られた。
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