研究概要 |
高分子材料の機械的な性質には,構成要素である微視的なモノマーの構造に加えて,分子鎖の絡み合いや架橋の状態,結晶化度のような高次構造が重要であることが明かになってきている.そこで,本研究では,高分子材料を分子鎖の集合体として捉えたメゾスコピックレベルにおける力学モデル,すなわち,「分子鎖ネットワークモデル」を構築することを目指して研究を行った.まず,分子鎖ネットワークモデルの生成法について検討し,複雑なパターン形成のアルゴリズムとして着目されているセル・オートマトンの手法を応用したネットワーク生成アルゴリズムを開発した.つぎに,生成されたネットワークモデルに外力が作用する場合の変形状態を解析するための計算プログラムを作成した.その際,絡み合い点における分子鎖のすべり,分子鎖間に作用するファンデルワール力,さらに分子鎖の切断を考慮した.種々のネットワークモデルについて計算を試み,ネットワークの形態と発現される力学的性質に関係について考察を加えた.
|