研究概要 |
本研究では、容量結合型の大気圧・高周波プラズマ中の(1)構成粒子(イオン、電子、励起状態の中性粒子)のエネルギー分布の時空間分解データ、(2)シース部の構造と振る舞いを、外部から制御可能なプラズマ発生条件(電極サイズ、電極材質、電極間隔、駆動周波数、ガス圧力、投入電力等)をパラメータとした計算機シミュレーションにより明らかにすることを目的としている。 本年度は、大気圧・高周波プラズマ中では特に重要と考えられる(1)粒子間の相互作用(各種衝突励起過程)、(2)成膜反応を支配する高励起状態の中性原子の振る舞いを時空間分解してシミュレートするためには欠かせない、プラズマガス粒子(He,SF_6,CF_4など)の各種衝突・励起過程に関する衝突断面積データの調査・収集を行ない、また適当なシミュレーション技法についての調査、検討を行った。この結果、大気圧・高周波Heプラズマ中で支配的と思われる、He準安定粒子の生成、消滅過程に関する衝突断面積データをほぼ収集することが出来、他のガス粒子についても現在収集中である。これらのデータを元に、大気圧・高周波の状況下におけるプラズマ粒子の輸送係数を決定すべく、計算機によるボツルマン方程式の解法プログラムを現在、作成中である。 次年度は、このプログラムにより計算される、電界強度やガス圧力に依存したプラズマ粒子の輸送係数を組み込んだ流体コードの開発を行ない、実験で発生しているプラズマ中の粒子群の振る舞いと外部パラメータとの関係を明らかにする。具体的には、実験から吸収分光計測により得られる準安定粒子数密度の空間分布データなどと対応させてコードの評価を行なう。
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