研究概要 |
ダイヤモンド砥石に軸方向超音波振動を付加してCBN工具中のCBN粒子を微小破砕することにより,研削抵抗の低減,研削能率および加工精度の向上を図ることを目的とした.低剛性砥石軸による研削の可能性を追求した. 超音波振動主軸をNCフライス盤に取付け,内蔵した圧電素子により超音波振動が軸方向に付加する.被削材は工作物固定台に接着し,さらにそれを4分力動力計上に取付ける.動力計はテーブルに固定しX軸方向に送って下向き削りで研削を行った.ダイヤモンドホイールは粒度#600,集中度100,メタルボンドであり,超音波振動の周波数約40kHz,振幅2.3μmである.実験から以下のことが明らかになった. 超音波振動の有無にかかわらず,研削抵抗は研削開始からしだいに増加し終了近くで最大値をとる.送り速度一定の下において,砥石回転数を1000rpmから4000rpmへ増加させると砥粒1個当たりの最大切取り厚さが減るため,平均研削抵抗がやや減少する.超音波振動を付加すると,x方向分力は14〜38%,y方向分力は13〜58%だけ減少するが,z方向は逆にやや大きくなる.研削回数が増すと,研削抵抗が急激に上昇する.これは砥石作業面の目づまりによるものと推測される.砥石の円筒面によるCBNの研削においては法線方向(y方向)分力が接線方向(x方向)分力の約15〜20倍と金属の研削に比べて著しく大きくなるため,低剛性の砥石を使用する場合,送りおよび切込みをできるだけ小さく設定する必要がある.研削面性状は,超音波振動の有無に関係なく、回転数が4000〜5000rpmでは研削が順調に行われているが,砥石作業面は超音波振動のないとき目づまりが激しくなっていることがわかる.回転数が1000〜2000rpmでは超音波振動の有無にかかわらず加工物表面に切りくずを擦りつけた様子が見られ,無理な研削状態となっているように思える.
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