研究概要 |
本研究では,結合部における微小接触現象と結合部を介しての熱の流れを同時に測定することにより,結合部における熱特性を明らかにすることを目指している.第1年目の本年は,結合部を介しての熱の流れを推定するための方法を具体化し,それに基づいて「結合部熱特性評価システム」の構築を行った. 結合部における熱特性を明らかにするためには,結合部における試料温度と熱流束を知る必要がある.そこで,これらの熱特性値を結合面近傍の温度分布から推定して求める方法を検討した.その結果,物体表面から熱が流入した場合に物体内部の温度分布が指数関数に近似できることに基づいて逆問題を解き,結合面における温度および熱流束を求める近似式を導出することができた.この熱特性値推定法について,温度の実測値と推定値を比較することにより推定精度を評価した結果,測定条件を適切に設定することにより推定誤差を1%以下に低減できることを確認できた. そこで,超音波を用いた結合部における微小接触現象の測定と結合部の熱特性値の測定を同時に行うことのできる「結合部熱特性評価システム」の構築を行った.この際,試料近傍の雰囲気の熱的影響が結合部の熱特性に大きな影響を与えることを考慮し,結合面付近の真空度を制御する雰囲気制御機構を組込んだ.これまでに,各測定を行うためのセンサ類を装置本体に装着し,変換器から信号処理用計算機までの計算機器をシステムに組込んだ.また,超音波による微小接触状態の測定と結合面近傍の温度分布測定が互いに干渉し合わないで測定できるための条件を明らかにでき,結合部の接触熱特性を計測するための基本的な準備が整った.
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