研究概要 |
本年度は,人の流れの解析を行なうに当たって解析対象を絞り込む作業を行なった.はじめに駅構内の複雑な人の流れを対象にして、ビデオカメラによる取材を行ない,人の流れとして特徴のある地域,場所の特定を行なった.駅の構内における人の流れを長時間ビデオで撮影し、これを解析し,流体粒子としての人の粒子モデルを考える材料を得た.得られた画像を、研究室でデータ収集し、流体粒子としての一人一人の動きの特徴抽出を行う。この作業は、統計的に処理する必要があるために、より多くのデータ収集を行い、データベース化を図っている.また,得られたビデオの画像を解析して,人が移動した跡(人の流跡と呼ぶ)のコンピュータによるトレース法について検討し,その計測方法の確立を図った.ビデオカメラで捉えた人の流跡は,実際には3次元的な移動となるため,人の流跡を決定するのは単純ではない.そのため,擬似2次元を仮定して,人の流跡を追跡する方法について検討し,試験的解析を行なっている. 一方,古典的流体力学による理論と単純化した人の流れとを対応づけて相似則を確立し,単純な相似シミュレーションを行なった.その結果,人の流れを超音速流れと対応づけて,速度,温度,圧力をそれぞれ人の行動パターンといかに結び付けるかについて一定の見解を得た. また,人の流れを独立した粒子の群れが流れる動きと捉えて,単純な流れの数学モデルを構築した。これは,先にビデオ取材によって求めた人の動きの特徴をもとに,粒子の運動の決定要素に,種々の条件や特性を付加し,はじめに,非常に単純な人の動きを計算機によりシミュレーションした.単純な動きにおいては,ある程度妥当な結果を得ることができたが,運動力学的要素と人の行動とを対応づけ,さらに改良を行なう必要がある.
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