研究概要 |
本年度は,ソーレー効果を利用した強制レイリー散乱法の原理的な可能性を確認し,以下のような成果を得た。 (1)現有の温度伝導率測定用の強制レイリー散乱法装置を,物質拡散係数測定に用いるために,幾つかの改良を加え,新たな拡散係数用測定装置を作製した。 (2)各種の物質系について,ソーレー係数の値を検討し,ソーレー効果によって,物質の濃度勾配の生成が検知可能な程度まで起きうるかを考察した。その結果,ソーレー係数が10^<-3>K^<-1>程度であっても検知可能なことが明らかとなった。 (3)最初の物質系として,ソーレー係数の大きいポリマー溶液(トリエン+ポリスチレン)等を用い,濃度勾配の生成や濃度勾配の減衰が回折光の強度変化として検知可能かどうか実験的に検討した。 最適な実験条件を求めるために,レーザーによる加熱時間,干渉縞間隔,レーザースポット径,試料厚み,及び干渉性等を変化させ実験を行い,半経験的ではあるが適切な実験条件を得ることが出来た。 (5)この方法の大きな特徴の一つとして,拡散係数の濃度依存性が検知できる点があるため,タンパク質溶液(アルブミン+酢酸)の測定を行った。
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