研究概要 |
平成9年度は非対称剛性行列自励振動の構成原理の解明と2足歩行運動機構への適用に関して,以下の結果を得た. 1.2自由度振子の運動方程式は慣性項の連成する形となるが,第2リンクの絶対角度を第1リンク入力にフィードバックすることにより非対称剛性行列形の自励駆動が可能であることを明らかにした.振子を平衡点まわりで線形化した系において解析的に同次系の自励化条件を導出し,非線形系においても同様の手法により自励化できることをシミュレーションにより示した. 2.2足歩行機構の遊脚を非対称剛性行列形フィードバックによって自励駆動し,膝関節を固定した1自由度の支持脚と結合した系において,遊脚の膝の可動範囲の制限と足先と床との衝突を考慮したシミュレーションを行い,遊脚の自励駆動によって安定な周期歩行運動が自律的に創成できることを明らかにした.計算機上で歩行運動のシミュレーションと同時にアニメーション評価ができるツールを構築し,それを用いて制御パラメータによる影響を調べ,ロバストな歩行が実現できることを明らかにした. 3.非駆動関節による動力学的拘束条件を含む多関節機構の最適運動解析法開発し,非線形周期運動としては比較的簡単な鉄棒大車輪運動に適用し,その最適運動が運動周期によってはいくつかのパターンの自由運動となることを明らかにした. また2自由度振子系の自励駆動および鉄棒系の最適運動を検証するための実験機を製作し,近く実験を開始する.当初計画通り自励駆動による2足歩行の実現可能性を明らかにしたが,解析的な理論構築および最適運動との比較・結合などは引き続き平成10年度に行う.
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