本研究の目的は、食事下膳作業を遂行するロボットを高齢者の家庭に実際に導入した時、どのような問題が生じるかを明らかにすることである。本研究の今年度の実施結果は次の通りである。 1.下膳用の機構とそれを載せて走る台車を製作し、自立走行するためのナビゲーションシステムを構築した。ノートパソコン、プログラマブルコントローラ、及び当初予定していた空気圧で動くエンドエフェクタの代わりに電動式の食器配置トレイセット装置を移動ロボットに取り付けた。 2.主な外界センサとして小型カメラ、光ジャイロセンサ、超音波センサ、タッチセンサを使用した。ロボットの通路にある壁や家具に記号を張り付けてランドマークとして配置した。このマークのカメラによる認識は10cm/secでロボットを走らせて可能である。また移動ロボットは3cm程度の段差は乗越えることができる。 3.高齢者の意思伝達には市販の音声認識ソフトを用いた。あらかじめ音声登録する必要があるが、コマンドの誤認識は非常に少ない。また高齢者が移動中のロボットをディスプレイで確認できることにより、安心感を増すようにした。 次年度は高齢者の居る家庭に(今年度は予定者の引越しのため不能)にロボットを設置し実験する予定である。また、物体把持用のマニピュレータを製作する予定である。
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