平成9年度の研究実績 平成9年度は主としてWASPに関する誤差の原因を追及した。従来は年間の風速の平均値で、計算値と実測値を比較してきたが、この方法では誤差が平均化され、計算方法の妥当性を正確に評価できないことが分かった。そこで竜飛ウインドパークに設置されている10台の風力発電機の1996年のデータを用いて、各月毎の平均値を尺度として用い、計算値と実測値を比較してみた。その結果、特定の地形と特定の風向の場合に誤差が大きくなることが明らかになった。具体的に述べると、風上側に丘陵があり、観測地点がその後流域にある場合は、風向、風速ともに予測誤差は特に大きくなる。しかし、このような地形が含まれない地域では比較的一致しており、WASPの実用性は十分あるものと思われる。また風速観測の基準点によっても推定誤差が大きくなることが分かり、基準風速計はできる限り、周囲の影響を受けない地形に設置しなければならないことが分かった。 以上の成果を10月6日〜9日まで行われた欧州風力エネルギー国際会議で「Wind Resource Estimation of TAPPI wind park」と題して発表した。その結果、WASPを開発したデンマークのRiso国立研究所の研究員数名から関心をもたれ、また今後の研究を進める上で有用な情報交換をすることができた。
|