研究概要 |
半導体超格子の分野では,フェルミ面上より上の高いエネルギーを持つホットエレクトロンを作り,積極的に利用するデバイスの研究などがなされている。そこで,本研究ではこのホットエレクトロンのスピンを磁性人工格子の巨大磁気抵抗(GMR)効果を利用してコントロールすることを提案し,全く新しいデバイスの開発に繋げようとするものである。 本来はスピンバルブ膜で必要な反強磁性体をNiOの絶緑膜で作製し,これをトンネル障壁として用いることを検討した。まずはじめに,Ar圧,投入電力を変えて,NiOの製膜条件の検討を行った。つぎにNiOの積層順により磁気特性がどの用に変化するかをNiOの膜厚を変えて検討した。その結果,界面の凹凸が磁気特性に大きく影響を与えることが分かり,また上部に積層した方がその影響を抑えられることが分かった。この結果は本年6月にカナダで開催される金属人工格子のシンポジウムで発表する予定である。現在は,n-Si基板上にAuをスパッタし,そのC-V特性を測定し,良好なショットキー障壁の再現性を試みている。これらの結果を踏まえて今後,金属マスクを用いて膜を作製し,試料の電流特性を測定する。
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