研究概要 |
1.非線形スタティクスとダイナミクスの分離モデルに基づく制御法の確立 (1)非線形スタティクスとダイナミクスの分離 現段階での非線形スタティクスの把握のし方としては,制御系に対する入力信号と出力の定常値との間の測定点を非線形多項式によって近似する方法を採用している. より一般に,原系dy/dt=f(y,u)から変換後の系dx/dt=Ax+Bvへの非線形変換の関係式x=h(y)とv=k(u)を見いだす問題の解法を検討した. (2)分離モデルの検証 新しく見い出す分離モデルの応答特性を,他の方法(Bilinear model等)との比較を行いつつ,計算機シミュレーションで検証した. (3)分離モデルに基づく制御法の検証 高性能の制御特性を発揮させるために,ダイナミクスの部分に対して可変時定数モデルを採用し,制御理論にも逆ダイナミクス制御理論に改訂を加えた制御方策の採用を検討した. 2.産業用実プラントに対する分離モデルに基づく制御法の適用に関する検討 (1)産業用火力プラントに対する方法の適用 火力プラントを忠実に模擬することができるMMS(Modular Modelling System)の計算機シミュレータを用いて,負荷の変化時にボイラーの温度と圧力を目標値に維持させるための給水流量,燃料流量,空気流量の制御に本方法を適用し,成功に導き,その結果を方法の改善に還元した.なお,火力プラント制御に関する知識は中部電力電力技術研究所の松村司郎主査から享受している. (2)化学プラントに対する方法の適用 化学プラントの温度制御において,本方法を適用し,従来迄に採用されていた制御方法よりも優位であることを示し,そのとき解決した問題を方法の改善に還元した.なお,化学プラント制御に関する知識は三菱化学の伊藤利昭生産技術センター長から享受している.
|