せん断を受ける砂試料の内部で砂粒子が滑動や回転をする様子を観察した。使用した装置は過去に工夫して作製したものに改造を施したもので、せん断中の間隙空気圧や有効応力を測定出来る。またゆる詰め砂の実験も今回始めて可能になった。 せん断帯shear band内部の砂粒子運動に特に着目し、その回転がせん断層外部に比べて特に激しいことを観察した。巨視的応力がピークを過ぎて軟化を始めたころに粒子回転が激しくなる。その理由は、回転のほうが粒子滑動より摩擦が小さく、せん断帯の変形も小さな力のもとで進行できるから、と推定している。せん断帯の厚さについて、粒子直径の10倍ないし30倍の範囲でさまざまな議論がなされているが、それらはいずれも粒子運動の直接観察に基づいたものではない。今回の研究ではせん断帯を直接顕微鏡で観察したが、それによるとせん断帯の厚さは一定ではなく、ゆる詰め砂ほど分厚くなることがわかった。またせん断帯内部の粒子運動を、せん断成分すなわち巨視的なせん断ひずみの方向とダイレイタンシーを反映する直交成分とにわけ、巨視的ピーク強度後の砂試料の体積膨張は大半がせん断帯内で発生していることを示した。
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