研究概要 |
本年度は、水中の浮遊物質、密度界面、底泥の厚さや硬度に関する超音波精密測定技術開発に向けた基礎的な現地実験を行った。現地実験では、市販の魚群探知機(周波数50kHz,107kHz,200kHz,400kHz)とADCP(ACCOUSTIC DOPPLER CURRENT PROFILER:周波数1200kHz,2400kHz)を使用した。実験場所には、研究代表者(山田)が、長年観測を行ってきた荒川、神田川、および北海道東部の網走川・網走湖を選定した。本研究で得られた主要な成果は以下のようである。河川感潮域および汽水湖における観測から、設定周波数を107kHzにすることにより塩水と淡水による密度成層の挙動を至短時間内に高精度で把握できることが明らかとなった。また、水中の浮遊物質の分布構造を把握するには、周波数を各種に設定することで,より最適な観測モードに調節できることが分かった。また,河床および湖底に堆積する泥の厚さ、硬度を評価し得る可能性についても示された。しかしながら、水中の挙動を高精度かつ軽易に把握するには、次のような問題点を克服する必要のあることがわかった。詳細な挙動を把握するには、大容量のデータを短時間に転送する必要があるため、データの転送速度や観測装置の小型化による記憶容量の縮小化には問題がある。また、観測時のセンサー部の移動速度(船の移動速度)によっては、センサー付近に形成される泡の影響により測定不可能になることがわかった。
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